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郷愁の昭和のヒットソングと豪華出演者の歌に酔いしれるー「筒美京平の世界 inコンサート」を見て

4月17日・18日「筒美京平の世界inコンサート」

昨年秋、急逝した作曲家・筒美京平に因んだコンサートが4月17日、18日の両日東京国際フォーラムで開かれた。その初日を見た。コロナ禍にもかかわらず超満員の客席、それもそのはず出演者がすごい。伊東ゆかりを皮切りに、夏木マリ、太田裕美、浅田美代子、麻丘めぐみ、平山三紀、早見優、松本伊代、斉藤由貴、ジュディ・オング、大橋純子、庄野真代、郷ひろみ、野口五郎、中村雅俊、稲垣潤一、松崎しげる、ブレッド&バター…

総勢20人を優に超えるスターたちが、次々と筒美京平が残したヒット曲を熱唱する。夕方5時過ぎから始まり、休憩をはさんで4時間近くのステージ。同時代を生きて来た人間からするとまさに夢のようなひと時であった。

筒美京平は、1960年代後半、グループサウンズブームのさなか、ヴィレッジ・シンガーズの「バラ色の雲」あたりから始まり、いしだあゆみの「ブルー・ライト・ヨコハマ」で大ブレイク。70年代に入り尾崎紀世彦の「また逢う日まで」、さらに平山美紀の「真夏の出来事」、南沙織の「17歳」など次々とヒットを飛ばした。

作詞も橋本淳をはじめ、なかにし礼、阿久悠、阿木燿子、松本隆など個性的で才能あふれる人たちとコンビを組んで、時代をリードしていった。そんな中から都会に出た青年と地方に残された女性の心のすれ違いを描いた名曲、太田裕美の「木綿のハンカチーフ」や、都会の孤独を描いた中原理恵の「東京ららばい」などが生まれた。

筒美の曲はブラスサウンドなどを使った華やかなイントロが特長で、親しみやすく覚えやすいメロディーと、スケールの大きいオーケストラが耳に心地よい。歌謡曲の枠を超えてフォークからニューミュージックまで取り込み、さらにポップな感覚は、筒美がバート・バカラックや、ポール・モーリア、さらに70年代半ばから世界中を席巻したディスコサウンドなどを、変幻自在に取り込んでいるのも見逃せない。だから色あせることがなく、今聞いても全く古さを感じさせない。

もう一つ筒美の曲は、出演者の一人野口五郎が「筒美先生の曲は難しいのが多い」といみじくも言ったように、「歌」というものをすごく大事にしているのだと思う。だから歌手も一生懸命に歌う。そして聞く者の心に残る。まさに昭和を駆け抜けていった代表的なヒットメーカー。

この日のコンサートの模様は、近くWOWOWで放送・配信されるようなので興味のある方はご覧になるとよいと思います。憂鬱な感染症を忘れて、しばし昭和の輝きを感じられることと思います。(santa記)