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「頭腦警察」PANTAが52年前に一瞬だけ結成した幻のGSバンド「ピーナッツバター」下北沢Flowers Loftで初デビューライブ!

幻のGSバンド「ピーナッツバター」が52年ぶりに令和デビュー!

2021年4月25日(日)下北沢Flower Loftで、幻のGSバンドの初デビューライブが決行された。頭脳警察のボーカル・PANTAが中心となって結成されたGSバンド、その名も「ピーナッツバター」。

1969年、学生運動の盛んな時代にPANTAとTOSHIの2人によって結成された「頭脳警察」だが、実はPANTAは「頭脳警察」結成前に大手プロダクションから「ピーナッツバター」というGSバンドでデビューするはずだった。しかし、”オックスの弟”バンドという触れ込みに違和感を持ち、デビューを迎えることなくをあっさり解散。

PANTA「当時GSに対して、不良でカッコいいイメージがあった。初期のエルビス・プレスリーのようなカッコ良さを思い描いてたけど、某事務所が甘ったるいアイドル路線で売り出そうとしているのを聞いて、ふざけるんじゃねぇと耐えられなくて…」

あれから52年…「ピーナッツバター」のためにPANTAが当時書き溜めた楽曲やメモが大掃除のタイミングで発掘された。「これ、形にしましょうよ」という周りの声に背中を押されて、ついに3月24日にピーナッツバターミニ1stアルバム『PANTA18歳 頭腦警察結成前夜 PEANUT BUTTER』が発売されることに。

収録曲は、PANTA作詞作曲の『気取り屋マリア』や『ゆり子』、オックスのヒット曲『スワンの涙』、ローズマリーの『可愛い人よ』の4曲。そして4月25日には遂に、時空を超えて52年ぶりの「ピーナッツバター」デビューライブが行われたのだ。

Q.『ゆり子』って実在のモデルはいるんですか?

PANTA「違う違う(笑)当時、どのバンドも外国人女性の名前でラブソングを作ったりタイトルになっていて、日本にいるんだから日本人の名前にしようと思って偶然閃いたのが「ゆり子」だっただけです。あと、決して〇知事ではありませんよ」

GS全盛期にタイムスリップ!ウエスタンカーニバルならぬシモキタン・カーニバル!

「ピーナッツバター」の記念すべきデビューライブ当日。緊急事態宣言に狙い撃ちされたかのような日に行われたライブでは観客は定員の2分の1にとどめ、全員が検温・消毒を行い入場する。

この日は、GSを21世紀に受け継ぐ「ザ・キャプテンズ」ザ・キャプテンズ|THE CAPTAINSとの対バンライブ。ボーカルの傷彦が薔薇の花を手にし、会場のファンを沸かす。「ザ・タイガース」の「花の首飾り」やロマンティックなオリジナル曲を次々に歌いあげ、傷彦が放つ甘い投げキッスやウインクは頭脳警察のライブでは決して見られない光景だ。

「ザ・キャプテンズ」の熱演後、フリル&カラフルなサイケ衣装を身に纏ったPANTA&頭脳警察のお馴染みメンバー(澤 竜次、宮田 岳、樋口 素之助、おおくぼ けい)が登場した。

Beach BoysやSpencer Davis Groupなど海外GSの曲から始まり、ついに「ピーナッツバター」のアルバム収録曲「スワンの涙」が披露されると・・・袖から60年代を匂わせるワンピース姿のGOGOガールズが登場し、曲に合わせて踊り始める。彼女たちは「ピーナッツバター」デビューのために結成されたGOGOガールズ「The Peanut」。ここは一体どこだ!?キレッキレのGOGOダンスの3人娘がGS全盛期へ一気にタイムスリップさせられる。「可愛い人よ」はオックスの弟バンド「ローズマリー」のヒット曲。作詞:橋本淳・作曲:筒美京平の名曲をひょっとしたら「ピーナッツバター」が演奏していたかも・・・と考えると感慨深い。当然「頭脳警察」は誕生しなかっただろう。アンコールでは、キーボードのおおくぼけいが”おおくぼけいこ”に変身し、GOGOガールズ「The Peanut」の一員として乱舞する一幕も。

PANTAが描くGSはやはり甘いアイドルGSとはピリリと一味違う。『気取り屋マリア』(PANTA作詞作曲)は、タイトルからしてまさにそのもの。PANTA独自のパラドックスが曲全体を覆う。

「Hey!気取り屋マリア その理性の鎧 今は邪魔なだけだよ」「甘い聖夜を望んじゃいない でもこのまま二人で死んでくれと言われたら喜んで死んでやれる そんな気がしているだけさ」

令和の時代に誕生した新GSバンド「ピーナッツバター」、あの熱狂の時代を再び・・・この腑抜けた日本に一発、新たな風を吹かせてほしい。今後の活動が楽しみだ。

気合い入りまくりの『気取り屋マリア』PV ぜひご覧あれ!

(御手洗志帆筆)